ルーチカは、家を一歩でたとたん、あしもとになにかがおちているのをみつけたのです。
ひろいあげてみると、それは、みおぼえのない小さなカギでした。 「こんなところにカギがおちてる。いったい、だれの家のカギだろう。」 よくみると、カギにはひもがとおしてあって、その先には葉っぱでつくられたカードがついていました。そこには、あまりじょうずとはいえない字で、なにかメッセージがかかれています。 「『お……ください。』? うーん、まんなかは、なんてかいてあるのかなぁ。」 ルーチカは、カードをみながらちょこんと首をかしげました。さいしょの「お」と、さいごの「ください。」はよみとれるのですが、この葉っぱはよほどおいしかったらしく、あちらこちらが虫にくわれて、すっかりよめなくなっていたのです。葉っぱをうらがえしてみると、なにか森の絵のようなものがかかれていましたが、もちろんそれも虫食いだらけでよくわかりません。 「とにかく、このカギのもち主をさがさなきゃ。きっと今ごろ、こまっているにちがいないもの。」──本文より。 フェリエの国に住むハリネズミのルーチカとなかまたち。 ある日ルーチカは「お○○○○○ください」と書いてある、虫食いの葉っぱつきの鍵を拾います。 いったい、なんて書いてあったのかな?そして誰の鍵なのかな?フェリエのみんなが知恵を出し合って鍵の持ち主を探します。 言葉遊びが楽しい、表題の「かぎのおとしもの」のほか、秋の森の恵みをみんなで宝探しする「レペテの実とふしぎなたね」 月が満ち欠ける理由を想像させる劇中劇「うれしかったお月さま」の3作。 かわいい動物たちがくりひろげる楽しいストーリーに心温まるメッセジーがこめられた物語です。すべての見開きに美しい挿絵が入る贅沢な一冊です。 |
題 名 | はりねずみのルーチカ カギのおとしもの |
著 者 | かんの ゆうこ |
出版社 | 講談社 |
ISBN | 978-4-06-195747-3 |
点訳巻数 | 全1巻 |
点訳完成 | 2015年7月 |
納品先 | 筑波大学附属視覚特別支援学校 サピエ図書館登録済み |
点訳者コメント | <Y.M> 信じる人にだけ見えるフェリエの国。 その場所は私たちの世界と似ているところもあるし、違っているところもあります。 そこに住む生き物たちが励ましあったり、助け合ったり、 また時には言いあらそったりしながらも、仲良く生きていく様子が描かれている、 ほほえましく優しさにあふれた物語です。 |
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