<一生懸命やったって、大人になったら先は見えてる。勉強して、働いて、結婚して、子どもを産んで、せっせと育てて……わたしって、なんなの。わたしもお母さんみたいになってしまうのだろうか。> 「子育て」の会合や勉強会に熱心なあまり、子どもの話を聞く時間なんかないほどいそがしくしている母親。家では、「オウチモード」に変身して、いい子を演じる弟。うわべだけのような学校の友だち。そして、なにより未来が怖い自分。 真名子は「休息が必要」なくらい疲れ切っている中学2年生。 ある雨の日、息苦しくなり、夏期講習を抜け出した真名子は、校舎の窓から見えていた古い家にひかれて、その庭に忍び込む。 そこで出会った自称「ローニンセイ」の奥窪さんと会ううちに、真名子の心に変化がおとずれて……
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